「在庫が多いんです。」
経営者の方とお話しすると、よく出てくる言葉です。
そのあとに続くのは、
・倉庫が手狭である
・管理が大変
・棚卸が重い負担になっている
といった“現場の困りごと”です。
しかし、少し視点を変えてみます。
■ 在庫はモノではなく、資金である
在庫とは何でしょうか。
それは「売れることを期待して、すでに支払ったお金」です。
会計上、在庫は資産として計上されます。
つまり在庫とは、
現金が姿を変えたものです。
1,000万円の在庫があるということは、
1,000万円の資金が棚に置かれているということです。
それが動かなければ、
新しい投資も、人への還元も難しくなります。
■ 在庫は“結果”である
在庫は偶然増えるわけではありません。
・売上目標の立て方
・生産ロットの決め方
・欠品に対する考え方
・部門間の評価制度
こうした意思決定の積み重ねが、
在庫という形で表れます。
つまり在庫は、
現場が作ったものではなく、
経営の判断の結果なのです。
■ 在庫の状態は会社の体質を映す
在庫が過剰な状態が続くとき、
そこには何らかの意思決定の偏りがあることが少なくありません。
たとえば、
・「とにかく売上を伸ばす」が最優先になっている
・欠品を過度に恐れている
・部門ごとの目標がかみ合っていない
といった状況です。
逆に、在庫が安定している会社では、
数字と意思決定がつながっています。
在庫を見ることは、
会社の体質を見ることに近いのです。
■ 在庫の健全性を測る指標
在庫の健全性を測る代表的な指標が在庫回転率です。
在庫回転率=売上原価÷平均在庫高
回転率が高いということは、
資金が速く循環しているということ。
回転率が低いということは、
資金が滞留しているということ。
在庫回転率は、会社の“血流”のようなものです。
大切なのは、
その水準を自社の意思として説明できるかどうかです。
■ 在庫適正化とは何か
在庫適正化とは、
単に在庫を減らすことではありません。
まずは現状を可視化し、
正確に把握できる状態にすること。
そして、
必要なものを、必要な水準で、
無理なく回していける設計にすること。
在庫が偶然積み上がるのではなく、
意思の結果として存在しているか。
それを問い続けることが、在庫適正化です。
それは現場の工夫にとどまる話ではなく、
経営の設計そのものに関わるテーマです。
このブログでは、
在庫を通して「経営のあり方」を考えていきます